さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



これまでの人生で、ハイブラ香水なんて飽きるほど浴びてきた。よっぽどニッチなものでなければ、大体の銘柄だって当てられる自信がある。

けど……コイツの香水は、全くもって分からない。いや、そもそも香水じゃねぇのか??


この風呂上がりみたいな……吸い込んでも肺に引っ掛かんないスッキリ透明な匂い。

それに混じって、噛んだら甘い味がしそうな、とろける体温の匂い。


……どう考えても女の匂いだよな。

女物のシャンプーとか使うタイプなのか?同棲彼女持ちとか?


その正体を確かめようとさりげなく嗅いでいるうちに、こめかみを締め付けていた二日酔いの頭痛がゆっくりほどけていって、心地よい甘い痺れに書き換えられていく。


もうちょっと、近くで──


そう思って無意識に顔を近づけかけたところで、ハッと我に返った。

待て待て何を気持ちよくなってんだ俺は!相手は榛名千歳だぞ?匂いがダメならさっさと鼻呼吸やめて口呼吸にしろ!!と、内心で自分の頬に思いっきりビンタして、なんとか精神を立て直す。