親バカ総長の息子である俺が女好きという噂が業界に蔓延っているせいで、親父を味方につけようとまず俺を口説きにくる連中は腐るほどいた。
だが俺は生憎、気に入った女の言うことをなんでもハイハイ聞くようなバカじゃない。
ギブアンドテイクならぬテイクアンドテイク、こちらから差し出すものなんて微塵もあってたまるか。
この俺の冷徹なポリシーのおかげで、今現在も翠雲会の平穏は守られている。全く、親父は俺に足向けて寝られねぇな。
そんなことを考えながら、俺は両脇で女が寝てる布団から抜け出し、洗面所に向かった。
さっきから、二日酔いで頭がクッッソ痛てぇ。
学校サボるかとも一瞬思ったけど、家に残ったとて、遊び相手は使用済みの香水臭ぇ女くらいしかいないから、午後から行くことにした。
鏡の前、冷水で洗顔をしながら、ぼんやりと考える。
昨夜の連中と違って、今狙ってる学校の女は一筋縄では攻略できない。すぐ手に入るのもつまんねーけど、手に入んねーのもそれはそれでイラつく。
押しに弱そうだったから、邪魔さえ入らなければ今頃とっくに食えてただろうに──
すべての歯車を狂わせたのは、榛名千歳とかいう何処の馬の骨かも分からない汚物野郎だ。
