寝坊した。
原因は明白。昨日スポンサー絡みの業界飲みが朝方まで続いたせいだ。
外資系ホテルのスイートを貸し切っての、新ブランドローンチ記念──表向きは、そんなことを言っていたけれど。
部屋に足を踏み入れた途端、すぐに分かった。これはそういう建前での、九条霞への接待パーティーなのだと。
若手女優、売り出し中のモデル、フォロワー数だけが取り柄の一般人──
名刺よりも女を差し出す方が早い。そう学習済みの腐った大人たちの必死さが見え透いた、身体だけは上玉揃いのラインナップ。
……そんなに親父の組と一本線を引きたいのかよ。
あまりに露骨な欲望に嫌悪感は覚えたけれど──
まあ、だからといって引き返すほど俺は潔癖じゃない。
だって、勿体ねーじゃん。並べられた皿を前にして箸もつけずに帰るなんて、俺の礼儀に反する。
もちろん羽目を外して遊びまくった。親父とのコネをちらつかせ、甘い蜜だけ啜り、天国のような一夜を過ごしたさ。
──ま、誰も俺の親父とは繋げてやらなかったけど。
