周囲が呆気に取られる中、私の前までやってきた彼は、ドンッ!と私の机に乱暴に手をついた。
「……言いたいことは分かるよな」
「……茉白ちゃんから俺に乗り換えですか?」
「マジで掘ってやろうか?クソ野郎」
最低だ。
最低すぎること言ってるのに、その凄まじいキラキラ芸能人オーラのせいで女子も男子も普通に見惚れてしまっているのが気に食わない。
みんな騙されないで、この人ガチで顔だけだから!!と絶叫したくなる。
「あのっ……!」
隣から、茉白ちゃんの抗議するような声。私はそれを手で制すと、ガタッと自ら椅子を蹴って立ち上がる。
「着いていけばいいんでしょ」
できるだけ淡々とした態度を保ってそう言うと、霞はふっと苛立ったように目を細め「来い」と踵を返す。
茉白ちゃんと夏葉ちゃんの明らかに心配そうな視線に、大丈夫だと示すように微笑み返すと、私もその後を追った。
……こんな早くに釣れるとは予想外だったけど、これはむしろ好都合。
時間が限られている分、計画が前倒れで進むに越したことはない。
さて、ここからが勝負だ。彼の闘争心を煽って、なんとかこっちの土俵に引きずり込めるように、的確に煽らなければ。
絶対に失敗できないところだから、慎重にいこう──そう自分に言い聞かせながら、私は気合を入れ直すように、ひとつ小さく息を吐いたのだった。
