「千歳くん、呼ばれてるよー」
不意に入り口付近の女の子たちから名前を呼ばれ、ハッとして顔を上げた。
私が呼ばれてる……?珍しいな。京たちなら、用があったらLINEを通して連絡をくれることが多いのに。
「誰ー?」
「あ、それが……」
入り口付近の子が少し言いづらそうに、ちらりと廊下側に視線をやる。
そして、その名前を口にするよりも早く──
ツカツカと遠慮なく教室に踏み入ってきた人物に、私はあんぐりと口を開けた。
──九条霞。
陶器のように白い肌、光に透けて淡く紫がかって見えるアッシュ系の髪。
入学式では下ろしていた前髪をルーズに上げているからか、中性的な印象から転じて少し大人びて見える。
彼は教室に入るなり、すぐに私の姿を捉えると、当然のようにこちらに歩み寄ってきた。
い、いらっしゃってたんですね……?センサーが全く働いていなくて、微塵も心の準備ができていない。
