さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



とはいえ、彼がこのまま大人しく引き下がってくれるかは微妙だよなぁ……そんなことを思いながら、彼の反応を窺うため、ちらりと視線を上げる。


すると。

彼はあまり感情の読めない表情で、無言のまま、じーっと私の顔を見つめていた。


……な、なんだ……?


てっきり苛立っているものだと思っていたから、想定外の無表情を前にして困惑してしまう。それはどういう顔なの?


彼は、数秒ほどそのまま私のことを見つめ続けた後──

ようやく口を開いたかと思うと。


「どっち?」


文脈も主語もすっ飛ばした言葉を投げかけてきて、私は数秒ほど思考停止してしまった。


さては、コミュニケーションする気ないな……?


「何がですか……?」

「だから。男?女?」


『だから』じゃないよ。知るか。

初対面からその尊大な態度はなんなんだ、と内心苛立ちつつ、私はまだなんとか笑顔を保って答える。