やがて。
彼がぴた、と足を止めたのは、なんと──
私たちのすぐ横。
さっきまで一緒に話していた、Sweet×Harmonyの天羽茉白ちゃんの目の前だった。
うーーーわ、なんか、この子選ぶあたり露骨っ……!!
包容力がありながら、大人しそうで断れなさそう。
そんな絶妙に気持ちの悪いチョイスをした彼に拒否反応を覚えつつ、私はことの行く末を見守る。
「天羽茉白?」
艶やかな低音が、空気を支配する。名前を呼ばれた茉白ちゃん張本人は、「はい……?」と戸惑った様子で首を傾げていた。
そんな彼女を、品定めするみたいに頭からつま先までじーっと見る霞。
やがて、満足したのだろう。彼は『合格』とでも言いたげにニッと笑って、ポケットからするりとスマホを抜き出した。
「インスタ教えて」
「あ、えっと……そういうのは一度事務所通してもらって〜……」
せっかく品定めしたのに普通に断られててちょっと笑いそうになってしまい、寸前で慌ててこらえた。
ダメだ、ここで笑ったら好かれるどころか目の敵にされて命を狙われる羽目になる。
