その姿を初めて生で見た今この瞬間、私の脳裏に同時に浮かんだのは、『麗しい』という形容詞と『総長か』というツッコミ。
というのも、芸能人特有の華やかオーラも勿論あるけれど、それ以上に明らかにヤンキーっぽい雰囲気が隠しきれていなかったからだ。
ちゃんとブレザーに袖を通してるはずなのに、肩に掛けて靡かせてるんじゃないかと錯覚してしまう圧倒的総長オーラ。
裏社会コンセプトの曲をやっていた人間が、まさか本当にヤクザの血を引いていたとは……そりゃ説得力も出て大ヒットするわけだと、一人納得してしまう。
そして彼が登場したことで、廊下の空気感も明らかに変わっていた。
漫画みたいにキャーキャー露骨に騒がれるわけではないけれど、「やば……」というため息混じりの声や、「なんかレベチいるって!」というような友達同士の興奮した会話が次々と伝染していく。
女子生徒たちの『私を選んで!!』というギラギラとした心の声が一斉に聞こえてくるみたいだ。
そんな熱い視線たちを当然のように受け流しながら、ゆったりと周囲を舐めるように見渡す彼。
そして、移動し続けていた視線が──とある一点で、ぴたりと止まる。
ターゲット、ロックオンだ。
一体誰に目をつけたんだ……?
その場にいるほとんどの人間が、彼に見そめられた幸運なお姫様を知りたがり、その行く先を目で追う。
勿論私も例外ではなく、どんな子が彼のタイプなのか見極めるチャンスだと思って、固唾を飲んで見守っていた。
