さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



私の一番嫌いなタイプの学校に入ってしまったかも……と今更ながら後悔して暗くなる私に、京が「安心して、千歳見てる奴は全部潰してるから」と怖いフォローを入れてくる。

つ、潰……?お願いだから、知らないとこで偉い人に喧嘩とか売らないでね……と少し心配してしまう。


……ところで、偉い人、といえば。

極道御曹司の九条霞様は、まだいらっしゃらないのだろうか。


事前情報で極度の女好きと伝えられている彼であれば、こんな新入生女子の爆釣タイム、スルーするわけがないと思うんだけど……。

そんなことを考えながら周囲を見渡していた、ちょうどその時だった。


異様なざわめきと共に、向こう側の人混みがゆっくりと割れ──

圧倒的なオーラを纏う人物が、開けた道の奥から悠々と姿を現した。


さらっと流れる燻んだ灰色の髪と、揺れて微かに輝く細長いピアス。

風に靡く紫紺のブレザー、ポケットに手を突っ込んで退屈そうに人を見定める気怠げな視線。


──間違いない。


二次審査、『SYNDICATE』のパフォーマンス参考のため何度も見てきた顔──

彼こそが、『femto』の末っ子センター、九条霞だ。