「カメラが無いからってあんまり距離詰めちゃ駄目。他の生徒たちだって、恋愛したいけどスキャンダル出ないようにちゃんと我慢してるんだから」
「ふーん……そんなふうには見えないけど?」
「え?」
京の言葉に、私は改めて周囲へと視線を向ける。
すると、辺りの様相は、先ほどまでの健全ムードからすっかり変わっているようだった。
広い廊下に蔓延るのは、おそらく京たちと同じタイミングで、新入生を品定めに上の階から降りてきた上級生たち。
一見爽やかで親しみやすいオーラを出しているものの、その目は上物を逃すわけにいはいかないと終始ギラついている。
そしてそんなハンター集団に捕まった新入生たちも満更では無さそうな反応で、各地でインスタ交換会が開催される始末。
「可愛くね?あの子あの子」
「いやお前B専やんけ」
「じゃあ俺右の子いくから。お前左な」
「じゃん負け話しかけに行こ!マジで」
そんな地獄みたいな会話があちこちから聞こえてきて、私は思わずゲンナリしてしまう。
これが地獄か……いや、でも冷静に考えれば、恋愛に飢えた顔のいい男女が集まったらこうもなるか。
東怜ってセキュリティ厳しくて内部が謎に包まれているイメージだったけど、こんな合コン状態じゃそりゃ見せられないよね。
