自分がやれって言ったのに、あまりにひどい仕打ちじゃないだろうか。恥ずかしくなってきて、慌てて抗議するように見上げると──
思っていた数倍近い距離に、京の顔があった。
「……っっ?!?!?!」
声にならない声をあげて飛び退く。こ、こんな人前で何をしてくれてんの……?!?!
しかもあの角度じゃ、あと数秒遅れてたらキスされてたと思うんだけど……!!
バクバク高鳴る心臓を押さえ混乱する私に、京は悪魔みたいな顔でけらけらと爆笑している。さっきからあなただけ楽しそうですね……?!
「いつ気付くかなって思って」
「は、はぁ?」
「後でちゃんとしよ」
「……は」
ポン、と肩を叩かれ、日常会話のテンションでキス予約をされる。もはやどこからツッコんでいいのか分からない。
峰間京、学校でもこの感じで貫くつもりなんだろうか。だとしたら確定で変な噂が立つからやめていただきたい。
明頼の飼育員が双子だとしたら、この人の飼育員は私だ。今のうちに手綱を握り直さねばと思った私は、京を強めに睨んで釘を刺した。
