さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



……ん?

この人まさか、今までずっと私の表情を見てた?


違和感に首を捻る私から、明頼はサッと視線を逸らす。

そして夏葉ちゃんにくるりと向き直ると──


「……ごめんっっ!!」


パシッ、と両手を合わせて、勢いよく頭を下げた。


……え。


予想外の展開に固まる空気の中、明頼は本気で申し訳なさそうに続けた。


「俺がなっちゃんとデートしたら……きっとまた、千歳くんを泣かせてしまう!!!」

「ちょっと待て」


流石に口を挟んだ。

私の表情から一体どういう解釈をしたんだ。変な勘違いされるから本当にやめて。この二人ほとんど初対面で、冗談とか通じないんだから!!

けれど明頼は私の制止などお構いなしに突き進む。


「本当にごめん!でも、俺には千歳くんがいるんだッッ……!!愛しい人がッ……!!」

「なに?コイツ」

「すごいね」

「お恥ずかしい限りで……」


人当たりのいいお二人も流石に引き気味のようで、私は本気で明頼の代わりに土下座したい衝動に駆られる。

あと小山明頼声デカいんだよいちいち、周囲の空気が異様な感じになっちゃってるから。

できることなら、今すぐ存在ごと消えてなくなりたい。誰かこのモンスターを止めてください……と、今にも心折れそうになっていた、そのときだった。