さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



「……心配、したじゃん……」


自分でも、びっくりするくらい。

か細く頼りない声が、落ちた。


ハッ、と頭上で息を呑む気配。

私は俯いて必死に表情を隠すけれど、視界が少しずつ滲んでいくのを止められない。


やば、なんでこんなんで泣いてるんだろ、本当に。人前で泣くなんて、私、滅多にしないのに。

こんなことで、なんで……。


これ以上何かを言ったら、本当に涙が溢れてしまいそうだ。

ぎゅっと口をつぐんで、必死に涙を堪えていた──その時。


頭上に、ぎこちなく手のひらが乗る感触。

そのまま、さら……と優しい手つきで撫でられ、ちょっと肩が跳ねた。


ひ、人前で何を……?


慌てて抗議しようと顔を上げる。

すると、その瞬間視界に飛び込んできたのは──



ぼたぼたぼたぼたっ。



真顔で致死量の鼻血を垂らす、明頼の姿だった。