さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



耳に飛び込んでくるやけに音声がやけにクリアなことに気づき、バッ!!と慌てて振り返る。

すると、背の高いアスリート集団の向こう側──廊下の人混みに紛れて。

あまりにも見慣れすぎた顔がピョンピョン跳ねて顔を出していた。


「あっ!こっち見たっ!!!!」


周囲から『なんだアイツ』みたいな目で見られる中、ぶんぶんと思いっきり手作りうちわを振ってくるのは──

間違いない。

小山明頼だ。


「…………っ!!」


思わず、椅子を蹴って立ち上がっていた。

…………なんで?本当になんでいるの??もう会えることはないだろうと思ってたのに。

あれだけカッコつけて去っていったくせに、なんでそんな当然みたいな顔で、今更普通に再登場してくるの?!


頭の中がぐちゃぐちゃになったまま、私はずんずんと教室のドアまで歩いていき、「ちょっとすみません」と筋肉質なアスリート集団をかき分けて進む。


「うおっ」

「可愛い」


物珍しいものでも見るような彼らの視線をかいくぐり、私はズカズカと、変なうちわを手にした明頼のもとへ歩み寄る。