さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



流石はアイドル、微塵も動じていないようだった。

茉白ちゃんは穏やかな笑顔で手を振り返し、夏葉ちゃんは「夏葉『ちゃん』だろー!?」とノリよく返す。

夏葉の言葉に男子集団はどっとウケて、背後の品評団もろとも「ごめん夏葉!!」「夏葉かわいいよ!!」とかいじりはじめ、夏葉ちゃんはジトーッと可愛い睨み顔で応戦する。

素晴らしいファンサービス……私には到底できない芸当に、脱帽してしまう。


それにしても、今回は私以上に可愛い女の子がゴロゴロいることで、こういう変なノリに巻き込まれずに済んで、本当に気が楽だ。

中学の頃もそうだったし、エマプロ初期の頃なんか特に、こういった悪ノリ混じりの冷やかしには散々悩まされてきた。


そう考えると、明頼はまだ良かったな。私を集団でのウケを狙うための道具にはせず、ただ愛を伝えたいという一心でオタクを貫いていたあの感じ。

すれ違うたびに、死ぬほどやかましい声で愛を叫んできたっけ。


「千歳くーーん!!大好きーーー!!!」


うわ、思い出してたら明頼の幻聴まで聞こえてきた。重症だな……。


「千歳くーーん!!愛してるーーー!!!」

「…………」

「千歳くーーん!!結婚してーーー!!!」

「…………」

「千歳くーーん!!こっち見てーーー!!!」

「…………」



…………幻聴じゃなくね??