春。
桜舞い散る、出逢いの季節。
私立東怜学園高校の正門前は、華やかな喧騒に包まれていた。
入学式を控えた新入生たちが、校門前に集まっている。
ある人は看板の前で保護者と写真を撮り、ある人は元からの友達と固まって自撮りをする──そんな、この時期に全国各地で見られる何の変哲もない光景。
……と、思いきや、改めて注目してみるとこれがもはや変哲しかない光景であることに気づく。
校門の向こうに停まった、高級外車の送迎車の列。
注目株の新入生を狙ったメディアのパパラッチ。
時には両サイドにSP付きで校門から入ってくる超絶セレブまでいらっしゃる始末。
そして新入生たちも、よく見るとまったく初々しいわけでもなく、むしろ成熟しきった錚々たるメンツが集まっている。
全国に名を馳せるカリスマモデル、大河ドラマに絶賛出演中の若手俳優、U-17代表のサッカー選手──右を見ても左を見ても、テレビでよく見る有名人がうじゃうじゃ溢れかえっている。
これが将来を嘱望される才能たちの学び舎・東怜学園高校の入学式である。
と、そんな著名人だらけの人混みでは、当然テンションが上がって注意が散漫になってしまう人間も多くいるようで。
──ドンッ!!
周囲の注目に気を取られていたアスリート科らしき男子生徒が、バランスを崩して誰かとぶつかった。
「うわっすんませんっ!!」
自分は体格がいい。ぶつかった側の衝撃の方がデカいだろう、大丈夫だろうか──と心配して振り返った彼は。
その相手を前にして、言葉を失った。
