さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



けれど。


「……ブス……飽きた……重い……うるさい……」


結局、選り好みの激しい彼のお眼鏡に適う子は見当たらなかったらしく、諦めてスマホを放り投げる。



──九条霞は、飽き性だ。

その場の刺激だけ味わって、終われば使い捨て。その刹那主義が、彼を問題児たらしめる所以だった。



明日からは、高校の新年度が始まる。新入生が入ってくる時期、つまり彼にとっては新鮮な獲物を引っ掛ける絶好の狩場である。

周りのクラスメイトは、年下彼女を作る!と張り切っていたりするけれど、無論彼にそんな意気込みは微塵もない。



(普通に、彼女ってなに?一人に絞って浮気はダメとか、拷問だろ。毎日三食同じメニュー食えってか?)



おもむろに、サイドテーブルに置いてあった煙草とライターを手に取る。

一本出咥えて、カチリと火をつけた。



──本命作るとか、ダルすぎ。

せっかくこの顔で、この立場で生まれたんだから、得られる快楽を効率よく貪って、青春を謳歌すべきだ。

人生一回きりなんだから、自由にやらせてくれよ。



そんなことを思いながら、ゆっくりと煙を吸い込んで、吐き出す。

紫煙が、青紫の照明に溶けて、ゆらゆらと消えていくのを見つめながら。

彼は、至極退屈そうに目を細めるのだった。