さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



「……いいから続けてろ」


淡々とした口調でそれだけこぼす彼に、女は一瞬目を丸くした後、ぷうっと拗ねたように頬を膨らませた。


「ひどい……私、明日誕生日なんだよ?」

「ふーん」

「……」

「……で?」

「……なんで誘ってくれないの」


その言葉に、霞はようやく画面から視線を上げた。

けれどそれは、彼女への心配ゆえではない。

この面倒なやり取りに決着をつけるためだけの、事務的な一時停止。

彼は気だるげな瞳で彼女の顔を捉えたまま、一言放った。


「無理。他の女の家行くし」

「…………は??」


女の表情が、凍りついた。

先ほどまでの熱に浮かれたような表情はどこへやら、急に谷底に突き落とされたかのような引き攣った笑い。



「あ?何?」

「……浮気してたってこと?」

「……?そもそも付き合ってねぇだろ」


瞬間。


「最っっ低っ!!!!」


バシンッ……!!


乾いた衝撃音が、部屋中に響き渡った。


「最低最低最低っ!!!!私が今まであんたに呼ばれるたびに、どんな気持ちで準備してきたと思ってっ……!!!!」

「は、おい」

「もういいっ!!!!」


服を着て、慌ただしく荷物をまとめ、嵐のように部屋から出ていく女。