「……っていうか、静琉さんはこのこと知ってるんですか?」
天馬に、率直な疑問をぶつけてみる。社長の意思無しでパトロン乗り換えなんて起こしたら、責められるのはこっちの方だ。
まぁ、静琉のことだから、普通に一枚噛んでそうだけど……。
「ってかもともと社長案だよこれ」
一枚噛んでるどころか首謀者かよ。
「あと、昨日社長から渡された学校用のシークレットシューズはGPS入ってないからできるだけそれ履くようにね」
「まず靴にGPS入ってたとこからツッコみたいですけどね」
呆れを通り越して笑えてきてしまう。社長主導で靴まで用意周到って……ここまでされては、もうさすがに断れない。
なんでもやるって言ったのは事実だし、これで少しでも榛名優羽から逃げられる確率が高まるなら、やるしかないか……。
と、一人覚悟を決めて溜め息を吐く私に。
ずっと腕を組んで話を聞いていた葵が、思い出したように口を開いた。
「……あ、ちなみに気をつけてほしいのが」
「?はい」
「今回のターゲット……俺も引くレベルのとんでもないヤリチンクソ野郎だから、頑張って貞操守って」
「……」
さらりと付け加えられたとんでもない補足情報に、固めかけていた覚悟が、再びガラガラと崩れ落ちていった。
もうホント、勘弁してください……。
