「そこで、俺が目をつけてるのが古参勢力の組織『翠雲会』ってとこ。トップが重鎮で、榛名優羽に対抗できるレベルの権力を持ってるし……何よりそのカシラがとんでもない親バカなんだ。普段は冷徹なのに、一人息子のこととなると途端に甘くなる」
「……はい」
なんとなく雲行きが怪しくなってきたな。嫌な予感を覚える私をよそに、天馬はつらつらと説明を続けてゆく。
「で、その翠雲会の甘やかされ一人息子が、東怜学園高校・二年次に所属しているアイドルグループ『femto』のセンター・九条霞」
「……」
「……もう分かっただろ?」
「……口説き落とせってことですか……?」
「ピンポーン」
……。
なんでもやるとは言ったけど……なんでもやるとは言ったけど!
ちょっと、あまりにもざっくりすぎやしませんか?!
心の中で絶叫してしまう。この人、三次の時といい今といい、私が魔法みたいに男を落とせる万能女狐だと思ってる?
しかもスポンサーの鞍替えなんていうめちゃくちゃ重要なことなら、もっと確実な取引を経て味方につけたほうがいいと思う。私が上手くやれなきゃ全部詰むじゃん……!!
