さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



「普通に、俺らも昔LUCAに行かされてたから」

「ユアンくんとかめっちゃ葵に懐いてたよな。今十歳くらいか?」


懐かしむように、そんな話をし始める二人。

あの生意気問題児のユアンが誰かに懐くとかあるの……?


まぁ、確かに葵って、自分軸の音楽を大切にしている感じだし、ユアンの好きそうな『ミュージシャン』タイプの天才ではあるもんね。

類は友を呼ぶっていうし、問題児は問題児に懐くものなのかも……と失礼な思考を巡らせる。


「巫静琉、期待してるやつポンポンLUCAに送り込む悪い癖あんだよ。ちゃんと自社で育てろよって思う」

「色々思惑があるんでしょ。知らないけど」

「ま、現に千歳みたいに上手くいく子もいるわけだしな。静琉から動画で送られてきたの見たけど、マジで良かったよあのステージ」

「俺の曲の手柄ね」

「泣いてたくせに」

「てか千歳、今度また家来てよ」


都合が悪くなるとすぐ方向転換してこちらに話題を投げてくる葵。強引すぎるはぐらかしスキルに苦笑しつつ、私はちょっと首を傾げる。