呆れ混じりの私の視線を感じたのか、バックミラー越しに葵と目が合った。途端、葵はくるりと身体を後部座席に向け、私に話しかけてくる。
「てか、千歳。そろそろ峰間京振った?」
「え?」
一瞬何を言われたのか理解できず、ちょっと首を傾げる。
振った?振った、振った……って、まさか。
この人、私と京が付き合ったと思ってる?!
その可能性に辿り着いた瞬間、私は一気に取り乱し、早口で訂正し始めた。
「私たち別にあの後付き合ってないですからね?!付き合ってとも言われてないですし!」
「は?どゆこと?あの流れでなんで??」
本気で意味が分からないというふうに眉根を寄せる葵。
意味が分からないのはこっちの方だ。一体いつからそんな誤解を……と記憶の糸をたぐり寄せ、私ははたと思い出す。
そういえば、いつもは私と京が絡むと邪魔しにきていた葵が、三次本番の時だけは妙に大人しかったっけ。もしかしてあの時から……?
まぁ確かに、本番の時の京は私に対してびっくりするくらい甘かったから、付き合ったと解釈されてもおかしくない。
ちゃんとその時に訂正しておけばよかった……と思わず頭を抱えてしまう。
