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涼しい夜風に吹かれながら、私は店の外壁に沿って歩き、裏手へ回り込む。
するとそこには、天馬からのメッセージ通り、黒塗りの高級セダンが停められていた。
流石は大スター。権力の匂いがする車を持ってるな……とちょっと気圧されつつ、私は歩み寄って、軽く窓を叩く。
すると、運転席の窓が静かに下がって、天馬が顔を出した。
彼は窓枠に肘をかけ、少し困ったように首を傾げる。
「……千歳。後ろのそれ何?」
「え?」
後ろ……?なんのことだか分からず、天馬の視線を追って振り向こうとする。
すると、それより一瞬早く──
がしっ!と勢いよく肩を抱かれ、思わず小さな悲鳴を上げてしまった。
なっ、何っ……?!
硬直する私の顔をスッと横から覗き込んだのは──
「びっくりした?」
峰間京だった。
……はぁ……?
まさか、ずっと気配消して跡をつけてきてたってこと?
呆気に取られ言葉を失う私に、京はくすくすと悪びれもせず笑う。
「だって、千歳がまた攫われたら大変だし。ボディーガードとして、さ」
ボディガードというよりストーカーに近い気はするけど……
でもまぁ、睦の件があった後だし、京が心配するのも当然だから何も言えない。
