……そして、問題はこの人だけじゃない。
右隣も右隣で、結構距離感がおかしいというか、なんというか……。
「千歳くん、ここらへん多分いい感じです」
「あっ、ありがと……」
手元の小皿に、次々と運び込まれてくる肉たち。トングの主は栄輔だ。
彼は、さっきからこうやって私に甲斐甲斐しく世話を焼き続けてくれている。私が焼いてばかりであまり食べれていなかったからって、気を遣ってくれているのだ。
本当に優しい子だなって思うし、素直に嬉しい。嬉しい、んだけど。
「……」
食べてる最中、めちゃくちゃ見てくる。
最初は気のせいかなって思った。けれど、あまりにも視線を感じすぎて、気づかないふりをするのにも限界が来た。
この人、か弱い小動物に餌付けでもしてるのかってくらい優しい目でこっちを見続けてくる……。
最初は普通に美味しく楽しめてたんだけど、この視線に気付いてからはプレッシャーで味が分からなくなってきた。なんなら緊張で喉が渇いて脂がくどくなってくる。
動物園で飼育されてるパンダとかって、こういう気分なのかな……なんて、変な方向に思考を巡らせていると。
