と、二人の奇妙な親密さに困惑する私をよそに。
白藤天馬が、「ま、頼んじゃったもんは仕方ないしなぁ」と苦笑いを浮かべながらトングに手を伸ばす。
「とりあえず焼こうぜ。どれから行く?」
「ちょっと待てッ!!!!」
途端、椎木篤彦とギャーギャー言い合っていた葵が方向転換して飛びついた。
まるで時限爆弾でも前にしたかのような形相に、部屋の騒がしさが一瞬静まる。全員の視線が集まる中、葵は天馬からトングをひったくるように奪い取ると。
ふーー……と苛立ちを吐き出すようなため息の後、真っ直ぐに天馬を睨んだ。
「テロはやめろ」
「……またそれ?大袈裟すぎんだろ。なぁ千歳」
本気で心外そうな声音で、私に同意を求めてくる天馬。
けれど、私もこればっかりはぎこちない愛想笑いで返すしかできなかった。三次の時に、彼の壊滅的な料理スキルについて葵から散々聞かされてきたせいだ。
スープに2キロの塩をぶち込み電子レンジを三台大爆発させた男に、一皿二万円を託す勇気はない。
無邪気な破壊神をぐいと押し退け、葵がこちらに身を乗り出してトングを手渡してくる。
「やって。千歳が焼いたのがいい」
「そんな変わんないと思いますけど……」
責任重大な任務を押し付けられ内心ビビりつつも、私は渋々トングを受け取る。
