「匠の一寸を味わいたくて……♡」
「一寸どころじゃねぇんだよ!!五寸いってんだよお前バカ野郎!!」
鷹城葵にガチギレされ、心底楽しそうにゲラ笑いする篤彦。
慌ててメニューを開いて値段を確認してみると、どうやら一皿二万円弱の超高級品種のようだった。流石に絶句してしまう。椎木篤彦なら貧乏暮らしの辛さは痛いほど分かるだろうに、なぜそんなに楽しそうに人の金を溶かせるのか。
「俺ずっと言うてるやろ。富裕層の余剰資産は貧民に再分配されるべきやって」
「思想強お前。関わんのやめていい?」
「令和のカール・マルクスと呼んでくれ」
椎木篤彦の奔放っぷりには流石の葵先輩もタジタジだ。
可哀想に……まぁたまには振り回される側の気持ちになって自身の行動を反省しなさい。
……。
…………。
…………いや待てよ。
普通にスルーしそうになったけれど、私は慌てて戻ってきて立ち止まる。
なんで椎木篤彦、普通にタメ語使ってんの??
しかも、まるで旧知の仲みたいなノリで。あまりにやり取りが自然すぎて、違和感が仕事をしていなかった。
三次の時も二人は別々のグループで、絡みも特になかったはずなのに……私の知らないところで既に面識があったのかな?巫静琉のお気に入り同士、飲みに呼ばれたりしてたとか?
