「え、大丈夫すか?俺ら多分めっちゃ食うけど」
本気で申し訳なさそうな顔をする栄輔に、天馬は呆れたように肩をすくめた。
「俺は普通に嫌だから帰ろうぜって言ったんだけど……」
そこまで言って、ちら、と咎めるような視線を葵に向ける。
「コイツが、千歳に会いたい!帰りたくない!!って泣き出すから……」
「あー、そういうとこありますよね葵くん」
「ねぇよ」
すぐ適当な相槌を打つ京にツッコミながら、葵はドサッと空いている席に腰を下ろした。
ステンレス製の携帯灰皿に吸い殻を落としながら、気怠げな表情で続ける。
「別に良くない?稼いでるのは事実だしさ」
「印税生活者は黙っとけ。こっちはお前と違って一個一個現場踏んで地道に稼いでんだよ」
苛立たしげにこぼしながら、葵の隣に腰掛ける天馬。
メニュー表を手に取り値段を確認して、うげ……と苦虫を噛み潰したような顔をする。
ただでさえライブ終わりで満身創痍だろうに、追い討ちで自腹を切らせるなんてあまりにも申し訳なさすぎる。
幸い手元には今まで貯金しておいた分の現金があるし、後で自分の分だけでもこっそり渡しておこう……。
