「これ……なんて読むんだっけ。ドイツ語かな?」
「えーそれ俺に聞きます?」
言いながら、栄輔がぐいと身を寄せてきた。ふわ、と鼻腔をくすぐる爽やかな香り。腕を私の背後の背もたれにかけて、身体を結構な面積密着させてくる。
んん……無意識?別に今までもこれくらいの距離感はあったか?
いや、でもやっぱり、ちょっと近すぎる気がする。もうちょっと離れてても見えるよね?
と、完全にタジタジになっていた──そのとき。
「栄輔ー!一人で合コン開くな!!」
「声キショいぞー」
流石に看過できないと言ったように、翔と遥風から一気に非難が飛んできた。
あの二人、席だいぶ離れてるのにずっとこっち見てたのか……。
栄輔は分かりやすく慌てて、「ち、違うっ!別に普通に話してただけですよっ?!」と必死に反論する。けれどそんな抵抗も虚しく、多方面から追い討ちが飛んでくる。
「にしては千歳の顔ばっか見てたけど」
「目がもう抱く気満々やったしな」
「違いますからっ!俺下ネタ苦手なんでそういうのやめてください」
「嘘つけよ」
「ブランディング純粋がよ」
京、篤彦、雪斗、陽斗──全員からの集中砲火を受けてるあたり、栄輔の序列の低さが窺える。
愛されてるのか、ただただボコされてるだけなのかは微妙なとこだけど……とりあえず、険悪そうではないから大丈夫、なのかな?
