思わず身体に力が入った。全員集合のこの状況の中でメロつきモードに入られては困る。
抑えて、という抗議の声を込めて見上げると、こちらを覗き込んでくる遥風と目が合って。
途端、スイッチが入ったみたいに、彼の視線がふっと甘くなった。
はっ?なんで?私何もしてなっ……
いや、違う。多分、今のが上目遣いが刺さってしまったんだ。
慌てて目を逸らそうとしたけれど、ぐい、と肩を抱き寄せられて、逃げ場が無くなる。
うわ始まった、って顔で視線を交わす京と栄輔をよそに、遥風は私だけを見て話しかけてきた。
「髪色戻したんだ?千歳」
「……うん」
彼の言う通り、私は今日から黒髪ウィッグをやめていた。元々の薄茶色のウィッグに戻したのだ。
涼介さんにもファイナルは元々の色に戻してって言われてたし、それ以上に──
黒髪は、どうしても黒羽仙李を連想させるから。
大人たちの都合で押し付けられた役割、それを象徴するようなあの色を、できるだけ早く手放したかったのだ。
京や栄輔には今朝の食堂で会った時に見せていたけど、そういえば今日遥風と顔を合わせるのはこれが初めてだったか。
「こっちのがしっくりくるかなって」
「ふーん」
遥風の手が、肩から髪へと上がって。
さら……とその指が私の髪を優しく梳いた。
愛おしげな手つき、甘い視線。
