さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



「呼び捨てにしていいよ。千歳、って」

「え?や……それは流石にちょっと恥ずいっすよ」


途端に赤くなって視線を逸らす栄輔。私が笑うとすぐ照れるところは相変わらずらしい。成長してるように見えて根っこは変わっていないところを見ると、なんだか安心してしまう。

──と、その時。


「うんうん呼び捨てハードル高いよね〜分かるよ」


栄輔の背後から不意に手が伸びてきて、ガッと彼の肩に回った。

声の主は──

峰間京。


「あ、僕のことはイケメンモテモテ京先輩でよろしく」

「峰間京うるさ……」


思いっきり舌打ちされても、ノーダメージで爽やかな微笑みを崩さない京。

こちらも黒を基調としたフォーマルなセットアップで耳元には細長いピアスが揺れ、まるでどこかの御曹司みたいだったけれど、言っていることはいつも通りくだらない。

と、そんな京に続いて、また違う声が頭上から降ってくる。


「イケメンモテモテ?笑わせんなよ」


顔を上げると──

いつの間にか、私のすぐそばに遥風が立っていた。