さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



「やばくないすか?異世界すぎて震えるんすけど」


顔を上げると、そこに立っていたのは栄輔。

いつもカジュアルな服が多い彼も、今日は流石にTPOを弁えてなのかジャケットベースのきれいめな服装をしていて、一瞬誰だか分からなかった。茶髪の前髪を少し上げたセットも相まって大人びて見える。


「……なんか、栄輔最近どんどん垢抜けていってるよね」


ぽつり、と。

素直な感想が、口をついて出てしまった。言ってから、上から目線だったかな、と少し後悔する。


けれど栄輔は、一瞬キョトンと目を丸くした後──

ふっ、と揶揄うみたいに目を細めて。


「……誰のためだと思います?」


と、悪戯っぽく首を傾げてきた。


……。

……え?

…………えー、と?


予想外すぎる切り返し。思わず言葉に詰まりかけながらも、私はなんとか茶化して誤魔化す。


「……チャラくなったね、栄輔」

「全然?言ってから後悔して心臓バックバクです」


ダサいでしょ、と笑う栄輔。

手を掴まれて胸元に持っていかれ、触ってみると確かにどくどくと早鐘を打っていた。