俳優や歌手、スポーツ選手など、既に第一線でプロとして活躍している生徒のための、単位制の高校。
あまりにも多くの有名人を輩出してきたので、もはや『東怜』という肩書きそのものが、ひとつのブランドになりつつある。
そして、もし母親が存命だったなら、私はきっとこの高校に進学させられていたと思う。スポーツチームや事務所の後ろ盾が無い一般人でも、面接や実技面接において将来の可能性を買われれば特例で入学が許可されることがあるのだ。
とはいえ、その枠は全体の1%にも満たず、ほとんどが既に活躍している有名人なわけだけど。
そんな場所に、エマの練習生だというだけで入試もなしに特待入学が許可されてしまうなんて……コネの力って恐ろしいな。
……っていうか、そんなことより。
今の静琉の口ぶりからしたら、まるで事前に伝えておいたみたいだけど、私全然それ初耳だからね。
だって、少しでも東怜なんて単語を聞いていたら、絶対に聞き逃すわけがないし。
おそらく私が欠席していた初日のオリエンテーションでそういう類の話をしていたんだと思うけど……ちゃんと配慮して私にも伝えておいてよ。そういう肝心なとこに限って雑なのなんとかなんないのかな?この人。
じとっと湿った視線を向けるけど、静琉は完全スルーでくるくるーっと椅子ごと回りながら説明を続ける。
