さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



「な?こういうことだよ」


煙草を灰皿に押し付けながら、いつもの気怠い口調で続ける静琉。


「千歳が降りた途端、金になる有望株たちがこぞってやる気をなくす。そりゃちょっと困るんでな」


この人、『お前が決めていい』とかカッコつけておいて、結局お金のことしか考えてない。どこまでも経営者すぎる……と、胸の奥で苦い笑いを漏らしてしまう。


けれど、同時に──

ここを去ることが、完全に正しいと言い切れなくなっている自分もいた。


というのも、さっき、京に対する向き合い方を反省した時に、ちょっと分かってしまったのだ。

私が最善だと思っていた選択って、もしかしたらただの自己満足だったのかもしれない、って。


参加者たちを依存させてしまっているからこそ、ここから居なくなるのが最善だと思った。

けれど同時に、参加者を依存させてしまっているからこそ、それをどうにかしないまま一人で逃げるのは、あまりに無責任すぎるのではないか。


残っても壊す。

消えても壊す。

だったら私、一体どうすればよかったんだろう。


完全に袋小路で、何も言えず俯くしかできない私に、静琉は淡々と言葉を続ける。