さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜


──その耳元に、再び感傷のかけらもない飛龍の声が差し込まれた。


「……で、話逸れてたけど。結局姫は俺のことご飯に誘ってくれへんの〜〜?」

「うわまだ言ってるよコイツ」

「誘うって言っときな千歳。じゃないと一生ダルいから」

「さ、誘うよ……何食べたい?」

「千歳くん♡」

「うわっ」


素でドン引きしてしまうと、周囲が手を叩いて爆笑し、中でも飛龍本人が一番楽しそうに笑っていた。そのメンタル、ホント羨ましいよ……と、呆れを通り越して尊敬の念を抱き始めてしまう。彼の底抜けに楽観的な態度と、深刻になりすぎない単純さ、見習わせてもらおう……。


と、そんなふうにいつも通りのくだらないやり取りを続けていた──

その時。

不意に、ラウンジのスピーカーから微かなノイズ混じりの音が走った。


『──業務連絡です』


頭上から落ちてきた抑揚のないスタッフの声に、さっきまでの騒がしさが一瞬静まる。

なんだろう……?こんなこと、滅多にないけど。

怪訝に思う中、スピーカーからの放送が続く。


『参加者の峰間京さん、及び榛名千歳さん。至急、社長室までお越しください』