二次、三次と毎回最下位で通ってきた綱渡り的な状況で、もうこれ以上の奇跡が起きないことは本人が一番分かっていた。
だから、順位発表式の前から荷造りを済ませて、すぐに去れるようにしてたんだろう。
つまり、順位発表の時──笑顔で親指を立ててくれたあの時には、もう彼の中で全ての覚悟は決まっていた、ってことか。
「あいつ、千歳に自分の泣き顔見られるの恥ずいとか言って秒で帰ってったからね」
「はぁ?もっと恥ずべきところあんだろ」
いつも通り、明頼に辛辣対応をする兎内双子。
……でも、恥ずかしいなんてきっと建前。
明頼は多分、分かってたんだと思う。
落ちたあとに私と顔を合わせたら自分が泣いてしまうことも。
そして、そんな姿を見せたら、残った私が責任を感じてしまうことも。
だから、先に出て行ったんだ──私に何も背負わせないために。
胸がギュッと痛くなって、目頭が熱くなる。思わずスマホを取り出して、明頼のトークルームを開いた。けれど、文字を打ち込みかけて、やっぱり消した。
多分、これは彼なりの気遣いなんだ。だったら、私の野暮な言葉でそれを壊すべきじゃない。最後くらい、カッコつけさせてあげた方がいいだろう。そんなふうに思ってスマホの電源を落とす私。
