さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



「……帰るんだ、遼次」


できるだけいつも通りを装ったはずの言葉が、思ったより全然頼りなく響いて、自分でも驚く。


遼次はそんな私にちょっと目を見開き──

困ったように、眉を下げて笑った。


「何その顔。そっちが落ちたみたいじゃん」

「っ、ごめん……」


いつもならもうちょっと気の利いた返しができるはずなのに、今は脳が鈍くなってて、どうしても言葉が続かない。

こんなの、遼次も困るはずだ。

そう思って慌てて話題を探そうとするけれど、一向に良さそうなものが出てこない……。


結局お互い何も言わずに、ラウンジに落ちる沈黙。

そんな気まずい空気の中で、遼次の両サイドから兎内双子がニヤニヤ煽り始めた。


「遼次くん、黙ってんじゃないわよ〜〜」

「最後に何か言いたいことあるんじゃなかったっけ?ん?」

「うわそういうの良くないっすよマジで」


鬱陶しげに眉を寄せながらも、その声音はいつもより硬い遼次。

結局彼は双子に背中を押される形で、ちょっと息を吐き、再び私に視線を向けた。