さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



いっそ、このまま眠ってしまえたら、この重苦しい思考の渦から解放されるような気がして。

思考を断ち切るみたいに、そっと目を閉じた──


その時だった。


「……寝てる?」


ふっ、と囁くような声が落ちてきた。

目を開けると、そこに立っていたのは──

陽斗、雪斗、そして遼次。


びっ、びっくりした……?!


ソファの背もたれ越しに覗き込んでくる意外な三人組を前に、私は慌てて上体を起こす。


「っ、起きてるよ」


油断し切って無防備だった姿勢を正しつつ、私は彼らに向き直った。


一瞬、珍しい組み合わせかと思ったけれど──

これ四次審査で一緒のグループだった三人組か、とすぐに思い当たる。


陽斗と雪斗は手ぶらだったけれど、遼次の手には大きなスーツケースが引かれていて。

もう戻ってこないんだ、という事実を突きつけられるみたいで、胸がどうしようもなく苦しくなる。