さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



『──他三名の参加者は、ここまでとなります』


私の思考に被せるように、静琉の淡々とした声が落ちる。

その冷たい宣告に、心臓が今にも握り潰されてしまうかのように痛くなった。


こんなに……呆気なく、終わってしまうものなんだ。

今にも泣きそうになる私に追い討ちをかけるように、カメラが脱落者の三人を順に映し出していく。


──誰も泣いてはいなかった。


遼次は、少し哀しそうに目を伏せ笑うだけ。

明頼も、分かってたよ〜とでも言うように頷いて。

飛龍に至っては、どこか吹っ切れたような感じでニコニコしていた。


報われる人もいれば、それよりずっと多い数、切り捨てられる人がいる。

そんなサバイバルオーディションの本質を、今になってようやく、真正面から突きつけられたみたいで──

モニターを直視できず、私はすぐに目を逸らしてしまう。


この三人が、落ちて。

私が二位でここに残ってるの──本当に、おかしいよ。


私は、直向きに努力し続けてきた彼らとは、到底並べない。

男装して、素性を隠して、大人の都合でここに押し込まれただけの異物なのに。


選ばれるためじゃなく、使われるために、ステージに立たされて。

ようやくその『目的』も終了して、これ以上メンバーの邪魔をしないで済むと思ってたのに。



どうして──

彼らじゃなくて私が、まだここに立ち続けているんだろう?



喉の奥がじわりと熱くなり、視界が揺らぐ。

ここで泣いたら、落ちた三人に失礼だ。

そう言い聞かせ、私は俯き、必死に涙を堪える。


けれど、思考は少しも止まらない。

さっきから重苦しい問いが、何度も何度も頭の中を駆け巡っている。


……なんで。

静琉は、一体どういうつもりで、こんな……。


外界の音が、遠のいてゆく。

壇上から聞こえる静琉の言葉も、意味を受け取る前に、意識の外に落ちて。

私はひとり、重く暗い思考の渦へと沈んでいくしかなかった。