さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



──コンセプトと抜群の親和性を見せ、観客を熱狂させた新海飛龍。

──楽曲リミックスにおいて、グループ最大の貢献をした灰掛遼次。

──影からメンバーを支え続け、不可欠な土台となってきた兎内雪斗。

──唯一無二のキャラクター性で、番組に明るさを与えてきた小山明頼。


全員、明らかにここに残るべき理由を持っている。

そしてそのどれもが、私なんかより相応しいと思えてしまうものばかりだった。


なのに、私はここに残って、この中の三人が消える側に回るだなんて──

悪夢みたいだ。


ドキドキと、酷く動悸がする。胸の奥がぎゅっと潰れて、息が上手く入ってこない。

そんな私の様子を察したのか、明頼が一瞬こちらを見て、ニッと笑って親指を立ててくる。

『大丈夫だよ』とでも言うように。

……そんな顔、しないでほしい。

彼のいつも通りの態度がどうしようもなく辛くて、視界の端がじわりと滲んだ。


『8位の参加者は……』


やけに遠くに聞こえる静琉の声。

一秒が、異様に長くて嫌になる。

聞きたくない。

それ以上、何も言わないでほしい。


けれど、そんな私の祈りなんて叶うはずもなく──

壇上の声は、氷のように冷たく、はっきりと響いた。