脳裏に蘇る、ステージ中の光景。
星屑のように煌めく、ステージ下の無数の光。必死に私の名前を叫ぶ声。私の声で涙してくれる人たち。
数字という抽象概念で一括りにしていいものじゃない。当たり前だけど、一人一人がちゃんと血の通った人間で。
それぞれがこのオーディションの何かしらに心を動かされ、私たちに賭けてくれているんだ。
──だからこそ。
こんなにもたくさんのファンの人たちの想いを踏み躙るようなことは、決してしちゃいけない。
今朝の選択をうっかり間違えなくて良かった。もし静琉に流されて『残ります!』とか宣言しちゃってたら、多分今頃大後悔してたと思う。
あんなにもたくさんの熱心なファンを、私のエゴひとつで騙し続けてお金を取るなんて、流石に悪徳ビジネスすぎるもんね。
……とはいえ、私の歌があそこまで多くの人に感動を届けられると知れたのはやっぱり嬉しかった。
榛名優羽の件とかが片付いたら、顔出し無しで音楽活動でもしようかな。私にできることって多分これくらいだし、どうせ生きるなら、誰かのために自分を使いたいし……。
と、そんなふうに思考を巡らせながら、私は四次審査の順位発表が行われるスタジオに足を踏み入れた。
