さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



『あんたのことが好きだなんて……
一度だって言うた覚えはありやせん』


粉々に割れた飾り玉。

それを一瞥もせず、少女は冷酷な目を彼に向ける。


私という呪いに囚われ続けてほしくはないから。

彼の未練が断ち切れるように、徹底的な悪女を演じるしかない。


『恋だ愛だって、何年も前のまま頭が止まっているようだけど。
……まだ自分が特別だと思ってんのかい』


彼は、何かを言おうとしたようだったけれど。

言葉を喉の奥に詰まらせたように、唇をほんの僅かに震わせただけだった。


目の奥からゆっくりと色が消え──

魂の中心にぽっかりと風穴が開いたみたいに、茫然と立ち尽くす。


勢いよく叩き割られた硝子玉のように、彼が内側から壊れていく音が聞こえた。


『……なぜ』


好きだから。


『私のことが、嫌いか』


大好きだよ。


『お前はそれで幸せなのか』


そんなはずがない。


私にとっての幸せは、幼い頃、他でもないあなたと過ごした日々で。

あの光をくれたあなたを愛していて──


だからこそ。