さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜


──圧倒的。

幼い頃から、ひたすらステージに情熱を注ぎ続けてきた彼ら二人だからこそ作り上げられる、一切の隙がないステージ。


それを前にして、私はただ狂ったように、ひたすらに歓声を上げることしかできない。


熱狂の渦の中、二人は乱れた前髪の奥から、ふっと挑発的にカメラを射抜く。

そして、衣装の胸元へと手を差し込み──スッと、淡い色を帯びた長尺の布を引き出した。


淡い桜色の、紗のような素材の美しい布。

会場を揺らすほどの一際大きな悲鳴が上がる中、二人はその布の流れを魅せるように、陶酔を誘う手つきで引っ張り──


次にバトンを託すかのように、勢いよく宙へと放った。


同時に。

今度は、花道向こうのセンターステージにパッ!とスポットが当たった。


そこには──

先ほど二人が投げた桜色の薄布と、同じものを手にする二人。


千歳くんと、栄輔くんが背中合わせに佇んでいた。

先ほどの鼓の拍子は鳴りをひそめ、代わりにトラックに乗るのは、切なげな笛の音。


その音色に合わせ、彼らの指先から、布がふわ……と宙に舞う。


まるで春の霞が具現化したかのように、光を透かして揺れるその布は。

計算し尽くされた軌跡をたどって、空中で交差し──

そのまま、互いに違う持ち主の手へと吸い寄せられる。


踊るように翻る布の先を、彼らはそっと掴んで。

切ない笛の旋律とシンクロさせるかのように、ふわりと振って波打たせ──

そのまま、身体を覆うように巻き付いたかと思えば、またするりと離れていく。