さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



千歳くんはそのまま、パシッ、と頭上で器用に固定して、ふわ……と魅せるように降ろしてきたかと思うと。

トレモロに合わせるように再度華麗に回し、そのまま──



ふっ、と扇子から手を離した。



優美な弧を描いて、重力を無視するかのようにゆったりと宙を舞い──

ふわりと落ちてきた扇子を、再び手元へと吸い寄せる。



浮遊するように軽やかな足運び。

揺れる衣装の裾が、淡い光を浴びて、水面のようにきらきらと揺蕩う。



夢の中としか思えないような現実離れして美しいその姿に、呼吸も忘れて釘付けになっていた──

そのとき。



千歳くんのいるセンターステージに繋がる花道を、パッ!と一本の光が通った。

まるで道のように伸びる白光、その最奥に立っていたのは──



皆戸遥風。



その姿がスクリーンに映し出された途端、再び会場が割れんばかりの歓声に包まれた。