さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



いよいよ──パフォーマンスが、始まるんだ。

ここまできたら、もうもはや自分の呼吸の音すらノイズ。私は息を潜めて、暗闇の中、その瞬間をじっと待っていた。


やがて、期待感と緊張感が臨界点に達した刹那──


パッ、と一点に鋭いスポットが落ちる。


ステージ中央。


その光の中に一人佇んでいたのは──

銀の箔が縁取る扇子で顔を隠した、一人の少年だった。


ドクン。


心臓が、今にも飛び出てしまいそうに大きく跳ね上がる。


やばい。

……やばい、やばい、やばいやばいやばいやばい。

顔を見ずとも、その立ち姿だけで、そのひとが誰だかすぐに分かる。


その白くて細い指。衣装の襟元が少しはだけて覗く、華奢な鎖骨──

ゆったりと優雅な所作で扇子を下げ、顕になるその横顔は。



──千歳くん。



大歓声が、爆ぜた。