さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



と、そんな栄輔の隣で、皆戸遥風もチラリと千歳くんを一瞥した。

一見、無関心を装った冷たい視線に見えるかもしれない。けれど、私には分かる。全神経を研ぎ澄ませた私には、ハッキリと見えたぞ。


皆戸遥風くんあなた今、千歳くんの頭を撫でてあげたいと思いましたネ??!!


遥千ケミを観察しすぎて、遥風の千歳くんへの感情に関しては下手なメンタリストよりも数万倍高い精度で当てられる自信がある。オタクの執念ナメんな。

ってか、誰でもいいから早くこのボロボロ状態の千歳姫を慰めてやってくれ。私じゃ手が届かないから、お前らの中の誰かがやってくれないとダメなんだよ。頼むよ……!!
と、そんな私の祈りに応えるように。


『なぁ、今日の動画見よ』


切り替わったカット、練習終わりのような雰囲気のスタジオで、皆戸遥風が千歳くんに声をかけた。

壁にもたれかかりながら首を傾げ見上げて、さら……と少し目にかかる前髪がメロい。

そして声!声よ!!さっきの噴火寸前の激怖低音ボイスとは似ても似つかない、蜂蜜をたっぷり溶かし込んだような甘々ボイス……!!多分それ足して二で割ったほうがいいかな!!そこまで露骨に態度が違うと千歳くん側にアンチが湧いちゃうからね!!でも供給ありがとう土下座土下座!!