けれど、そんな緊迫した状況下でさえ、私の視線はどうしても千歳くんの美貌に吸い寄せられていく……。
いや、改めて見ても黒髪やっべぇな……。色素薄めの髪色だった時より少し伸びた髪が若干首筋にかかって、繊細な色気が限界突破している。あまりにも正解すぎて、全米どころか全宇宙がスタンディングオベーションだ。
『遥風。お前さっきから黙ってるだけだけどなんかないの?』
いつまで続くかと思われた氷点下の沈黙を破ったのは翔だった。しかも、その矛先はあろうことか、今この場で一番刺激してはいけなさそうな皆戸様へ。三次審査の時の激怖遥風が脳裏にフラッシュバックし、私は思わず「ひえっ……」と小さく息を呑んだ。
三次の時、遥風散々悪編されてたんだよね。キレる理由がもっともだったから、そこまで炎上はしてなかったけど、それでも全視聴者の細胞には皆戸先輩ブチギレ恐怖映像がトラウマみたいに刻み込まれたはずだ。
改めて、このヤンキーを手懐けている榛名千歳先輩って凄すぎる。私だったら多分萎縮しすぎて、蚊のなくような声量でしか話せなくなり聞き返されさらに苛立たせる……っていう最悪のデスループにハマってしまうこと確定だ。なんなら日本語の言語機能ぶっ飛んで「あ、あ……」しか言えなくなる自信しかないもんね。キモオタ陰キャここに極まれり。
と、そんな私の戦慄をよそに、画面の中の遥風はゆっくりと翔の方へ視線を向けた。その、今にも人を殺しそうな絶対零度の瞳──。
