『……ありがとうございます。クロフォード氏の言及した通り、今回の式町睦の出演はスケジュールの関係により見送っております。直前での変更となったため、あらかじめお伝えできずに申し訳ございませんでした』
そんな静琉の言葉に、「えぇ〜……」と落胆するようなため息がそこかしこで漏れた。
エマプロの視聴者層は、10代〜20代の若い女子たちが中心とはいえ、親世代、それ以上の世代の視聴者も勿論山ほどいる。きっと、『Schadenfreude』が音楽シーンを席巻していた時代に、リアルタイムで追いかけていたファンも多く結構駆けつけているのだろう。
メンバーのほとんどが死亡やら逮捕やらで表舞台から消え去った今、式町睦だけが、伝説の歴史を背負ってこの世界に立ち続ける最後の生き残りなのだ。生きる伝説である彼に、一度はお目にかかりたいのも当然。
……でも、不祥事塗れのグループで一人だけ無傷で残り続けてる奴って、そいつが一番の『元凶』だったりするっていう噂、よく聞くよね。式町睦は大丈夫なんだろうか……?
一抹の不安を抱えてしまう中、巫静琉はそれ以上の追求を許さない淡々とした態度で話を続ける。
『では、審査員の紹介を終えたところで。パフォーマンスに先立ち──最初のチームが今日このステージに至るまでの過程を、VTRでダイジェストとしてご覧いただきましょう』
その言葉に、一瞬にして雑念が吹き飛び、思考が切り替えられる。VTR……ってことは、千歳くんが映るかもしれない。目をかっ開いて見なければ。
