さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



期待感が臨界点に達しようとした瞬間──
天井から、一条の照明が鋭く走った。


ステージ中央に走る白光のライン。それが花道を伝い、前へ、前へと導くように伸びていく。


その終着点──逆光の中に、一人のシルエットが浮かび上がった。


漆黒のロングコート、中にはチャコールグレーのタートルネック、無造作な毛流れでセットされた髪。お洒落用らしい眼鏡の奥から、こちらの全てを見透かしてくるかのような、鋭い光を携えた瞳がこちらを見据える。


ステージ中央に立っていたのは──

EMERGENCE PRODUCTIONのCEO、巫静琉だった。


…………えっ、ぐい。えぐいえぐいえぐいえぐいえぐい。
生の巫静琉、あまりにもメロすぎるぅぅぅぅーーーー!!!!!!

ロングコートにセンター分けに眼鏡って!!あまりにも!!あまりにも韓国俳優!!!!結婚してください!!!!

割れんばかりの黄色い悲鳴が会場を埋め尽くす中、カンナさんは表情一つ変えず、悠然と客席を見渡し──ゆっくりと、マイクをその薄い唇に寄せた。