いつも通り何度か揉めながらも、なんとか今日も合同練習が終了。
窓の外はすっかり暗くなり、メンバーやスタッフたちが三々五々帰っていく中、私はスタジオ前の休憩スペースのソファにへたり込んでいた。
……疲れた。やっぱり、女の私が10代男子の無尽蔵な体力についていくのはかなりキツい。
ペットボトルの水で喉を潤しつつ、ぼんやりと宙を眺めていると。
「ひーめ」
背後から聞き慣れた声が降ってきた。
振り向くと、皆戸遥風。練習後で乱れた髪が、少し色っぽさを醸し出す。
「遥風までその呼び方しないでよ……」
「悪い悪い。あいつのが移った」
彼の呼ぶ『あいつ』とは、菅原琥珀のこと。
なんの躊躇いもなく、私の横に腰を下ろしてくる遥風。
私に対する彼の視線は、この1週間でだいぶ変わった。
最初の頃は、所有欲!支配欲!って感じだったのに対して、今は、すごく対等に、1人の人間として見てくれているような感じ。
その距離の近さには、今でもまったく慣れないけれど。
「それ水?一口ちょーだい」
その言葉に、私はぎょっとして聞き返す。
「自分のは?」
「もう無い」
甘やかに目を細め、こちらに手を差し出してくる遥風。
……変に意識してるって思われるのも癪だし。
そう思って、私は渋々、ペットボトルを手渡した。
遥風がボトルに口をつけるのを、意識して見てしまう。
彼のものだとすぐに分かる爽やかな香水の匂いが、妙に強く感じられる。
……元人気アイドルを前にしたら、女の子は誰だって意識してしまうと思う。
そう自分に言い聞かせつつ、遥風から「ありがと」と返されるペットボトルを受け取る。
「……で」
膝に頬杖をつき、私の顔を覗き込んでくる遥風。
「明日までに、どーするつもり?」
本題だ。
同意してもらえるか分からないけれど……とりあえず、私の考えを話してみよう。
窓の外はすっかり暗くなり、メンバーやスタッフたちが三々五々帰っていく中、私はスタジオ前の休憩スペースのソファにへたり込んでいた。
……疲れた。やっぱり、女の私が10代男子の無尽蔵な体力についていくのはかなりキツい。
ペットボトルの水で喉を潤しつつ、ぼんやりと宙を眺めていると。
「ひーめ」
背後から聞き慣れた声が降ってきた。
振り向くと、皆戸遥風。練習後で乱れた髪が、少し色っぽさを醸し出す。
「遥風までその呼び方しないでよ……」
「悪い悪い。あいつのが移った」
彼の呼ぶ『あいつ』とは、菅原琥珀のこと。
なんの躊躇いもなく、私の横に腰を下ろしてくる遥風。
私に対する彼の視線は、この1週間でだいぶ変わった。
最初の頃は、所有欲!支配欲!って感じだったのに対して、今は、すごく対等に、1人の人間として見てくれているような感じ。
その距離の近さには、今でもまったく慣れないけれど。
「それ水?一口ちょーだい」
その言葉に、私はぎょっとして聞き返す。
「自分のは?」
「もう無い」
甘やかに目を細め、こちらに手を差し出してくる遥風。
……変に意識してるって思われるのも癪だし。
そう思って、私は渋々、ペットボトルを手渡した。
遥風がボトルに口をつけるのを、意識して見てしまう。
彼のものだとすぐに分かる爽やかな香水の匂いが、妙に強く感じられる。
……元人気アイドルを前にしたら、女の子は誰だって意識してしまうと思う。
そう自分に言い聞かせつつ、遥風から「ありがと」と返されるペットボトルを受け取る。
「……で」
膝に頬杖をつき、私の顔を覗き込んでくる遥風。
「明日までに、どーするつもり?」
本題だ。
同意してもらえるか分からないけれど……とりあえず、私の考えを話してみよう。
