さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



「あー、お姉さん本当に可愛いですけど……繋がろうとするのは、あんまりいいことにならない気がしますよ? お姉さんがしんどくなるだけですし……ね?」


と、笑って穏便に済まそうとしたその瞬間。
ぎろり、と先ほど以上の鋭い睨みを向けられて、思わずヒッと喉が鳴った。

表情を引き攣らせる私に、その子は苛立たしげに息を吐き、とげとげしい声音で話し出す。


「……あのね。他のリアコやってる豚共と一緒にしないでくれる?私の場合一回繋がってんの」

「は?」

「聞こえなかった?京くんの彼女だった時期があるの私は」


ポカンとして硬直する私を前に、その子は頼んでもいないのに、ツラツラと過去の話を始めてしまう。


いわく、彼女は昔峰間京に口説かれ彼女になったことがあるらしい。

彼女と京はお互いにこの世界に嫌気が差していて、心中をする約束をしていた。しかしそれは全て京の嘘だったという。

彼女は裏社会出身なので、麻薬や毒にも手が届く立場であり、それを利用されただけなのだ。けれど彼の過去はあまりに悲惨で壮絶なもの(内容は彼との秘密だから言えないらしい)だから、私はすべてを許した……とのこと。


「……だから、私はもう割り切って、いちファンとして純粋に応援していくことにしたの。京くんがこの世界で生きていく道を選んだなら、それを応援するのが最高の元カノかなって」


少し目を潤ませながらそう話すその子に、私は数秒間、言葉を失って硬直していた。

当然の反応だと思う。

だって、その子は私が思っていたより何倍も、何倍も──


ヤバい奴だったから。